暖かみのある色が魅力のカラーネガフィルム
Kodak GOLD 200は1980年代のフィルムカメラ全盛期ともいえるころから、いまでも販売が続いているフィルムです。感度はISO 200。コダックらしい暖かみのあるトーンは、どこか懐かしさも感じさせ、気のおけない仲間や友人との日常的なシーンを撮るのに最適なフィルムといえるでしょう。Kodak GOLD 200は、ホワイトバランス5500Kのデイライトフィルムで、パトローネにはDXコードがあります。カメラ・DPEショップや量販店でとても入手しやすいフィルムで、現像は通常のC-41プロセスとなりますので、ほぼすべての現像所、DPEショップで現像ができます。実勢価格は600-700円前後。運が良ければセールなどで500円程度で入手でき、価格帯を考えても日常的に使用しやすいフィルムです。彩度は比較的高めで、明るくカラフルな被写体にも向いています。
Kodak GOLD 200で撮る日々のあれこれ
Kodak GOLD 200は手ごろな価格で入手しやすく、感度もISO 200と日常的に使うには大変おすすめです。さっそく作例をご覧ください。
📷Leica M7, Voigtländer NOKTON Classic 35mm F1.4
“日常を撮る、生活に彩りを”。朝や夕方時の低い光が差し込むタイミングのコーヒードリップは良きシャッターチャンス。すぐに使えるフィルムカメラに、このフィルムを入れておけば、暖かな色味で素敵なワンシーンになってくれます。ただし、室内や暗いところで撮る場合はF値を低くする必要があって、そのためピントの合う箇所が狭くなるので、その点は注意! ピントがあったときの写真の空気感は最高です!
📷Minolta Minoltina-S(Rokkor 40mm F1.8)
ISO 200の感度ということで、できるだけ“マニュアル設定ができるカメラ”で使用しています(全自動のコンパクトカメラはISO400が確実!)。この写真は1964年発売の「ミノルタ・ミノルチナS」というフルマニュアルのカメラで撮影。40mmF1.8と装着されているレンズが明るいので、比較的低感度なISO 200のフィルムでも屋内や夜の街中でも結構撮れてしまいます。
📷Leica M2, Summicron-M 35mmF2 1st
早朝、カーテンの隙間から部屋に差し込むオレンジの光を撮ってみました。暖かみのある表現が得意なGOLD200ならば、朝の空気感や温度感を、その時に感じたように表現してくれるフィルムです。夕陽の時間も同様で、どの時間帯も万能なので、一日の流れを追うにはもってこい。
📷Leica M7, SUMMICRON f2/50mm
夜でも光があるところを探せば、ノンストロボでGOLD200のようなISO 200のフィルムでも撮ることができます。ただしF値が低い(明るい)レンズが必要で、全自動のカメラは苦手なので、露出とシャッタースピードを自分で設定できる、フルマニュアルのカメラがオススメです。夜の撮影時は、頑張ればブレにくい限界のシャッタースピード:1/30に、露出をとにかく一番明るい設定(この写真の場合F2)にして、ピントだけをあわせて撮るといったフットワークがオススメ。あ、カメラをしっかりホールドして撮るのを忘れずに。
📷Leica M7, Voigtländer NOKTON Classic 35mm F1.4
どんなシーンでも使いやすい、スーパーナチュラルで柔らかい雰囲気に仕上げてくれる部類のフィルム“GOLD200”ですが、金属などの質感描写も得意です! シャープすぎずに、どこか柔らかな雰囲気を備えつつ、温もりを感じられるノスタルジック感になりました。
📷Canon EOS 3, EF50mm F1.2L USM
ところで、本当は“Kodak Portra160”を使いたいけれど、フィルムを日常で気軽に楽しむにはやや高価なので、日々の写真は“GOLD200”をまとめ買いして使用しています。コダックのフィルム特有の暖かみのある色味、ほどよいコントラストでとても使いやすく、なによりも撮れている写真の打率がとても高いため、個人的にはPortra160よりも使いやすいと感じることが多々……。この写真のように、逆光でもしっかりとそのシーンの色や雰囲気を捉えてくれるのはとても嬉しいポイントで、飲み物の淡い色やカップの質感もみずみずしく描写してくれました。フィルムセレクトに迷ったらとりあえず“GOLD200”。
📷Leica M7, Voigtländer NOKTON Classic 35mm F1.4
日常だけでなく、ここからは少し旅的なスナップ写真も。旅先で出会った景色や人や物、写真に残しておきたいものです。昭和レトロのたこ焼き屋さんで、ちょっと雑に撮ってしまったのですが、旅の記録の一枚として、なんとなく気に入っています。
📷CONTAX T2(Sonnar 38mm F2.8)
旅や散歩で気になった被写体をキャプチャーするようにスナップ。いつでも信頼して撮れる(しかも手ごろな価格の)フィルムなら、スマートフォンのカメラに頼らず躊躇なくシャッターを押すことができます。“迷ったら撮る”の精神です! 「あ、こんな出会いもあったのか!」と、現像からあがった写真を見てほんとうに幸せな気持ちになれます! 先のカットで“金属などの質感描写も得意”と記しましたが、そのパート2写真です。
📷OLYMPUS-PEN W(E Zuiko-W 25mm F2.8)
この写真は、OLYMPUSのPEN-Wというハーフカメラ(フィルム1コマに2枚。規定枚数の倍撮れるカメラ)で、撮影しています。“オリンパス・ブルー”といわれるズイコーレンズの美しい青へのグラデーション、ほどよいシャープさが特徴で、タワークレーンの細かな描写もしっかり再現してくれました。GOLD200は、レンズの個性もしっかり表現してくれるので、カメラやレンズチョイスも楽しみのひとつです。同じフィルムを使い続けてカメラやレンズを変える。いろんな珈琲店に行って、同じ産地の豆の珈琲を注文するみたいな……。
📷Leica M7, Voigtländer NOKTON Classic 35mm F1.4
100円ショップでGETした大型シャボン玉セットをもって旅先に。光をしっかりと選べば、こんな風に透明感のある写りが得られます。色味が安定していて、幅広いシーンに対応してくれるフィルムなので、思いっきり非日常なことをしても、ちゃんと写ってくれているのが嬉しい! 撮るのよりもシャボン玉を上手につくるほうが難しかったり……。
📷Leica M7, SUMMICRON f2/50mm
旅や散歩で出会ったドラマチックな夕陽を撮らずにはいられません。個性的な色味を楽しめるエフェクト系フィルムなんかも楽しめるシチュエーションだけど、水面と空の微妙なグラデーションといった、そのときの良き感動を“そのまま残す”ことができるGOLD200のような安定感のあるフィルムが確実です。このフィルムで撮れば、「その時に感じた色や感動と違かった!」なんてことにはなりにくいです。
日々のスナップをKodak GOLD 200で楽しむ
このロングセラーフィルムで、たくさんの人たちが何気ない日々を、時には特別なときを撮ってきたのだと思います。暖かみのあるトーンでありながら、とてもバランスのよい安定した色味は、リアルとノスタルジーをひとつの画面に両立する包容力があります。Kodak GOLD 200でスナップする何気ない毎日のなかに、大切なことを見つけられるかもしれません。